『血の収穫』 ダシール・ハメット




『血の収穫』 は、レイモンド・チャンドラー、ロス・マクドナルドと並び、
御三家と称される、”ダシール・ハメット” の、記念すべきデビュー作だ。


アメリカだけではなく、大藪春彦など、
日本のハードボイルド作家に与えた影響は大きい。


クールでドライな主人公が、
悪徳の町で跋扈する悪者同士を戦わせ、排除を企てるという、
シチュエーションは、黒澤明監督の用心棒や、
マカロニ・ウエスタンなど、多くの模倣を生んでいる。


物語は、依頼を受けてある鉱山町に行った主人公が、
ギャングの縄張り争いを利用し、町を正常化しようとする話。


血で血を洗う壮絶な展開は、その後のアクション映画や、
バイオレンス小説に多大な影響を与えている。


リアルな筆致が話題を呼んだが、その理由は、
ハメット自身が探偵業を営んでいたからである。


余計なことを書かず、なるべく簡潔に登場人物を描いていく手法は、
今日でもハードボイルドの基本となっている。


ハメットはその後も、『マルタの鷹』 などの、
ハードボイルドを書き続け、第一線の作家として活躍した。


政治的主張も積極的に行い、反ファシズムの論戦を張ったため、
1950年代アメリカに吹き荒れた、”赤狩り” の中、
証言を拒否したため、ブラックリストに載ることとなった。


そのため、晩年は不遇だったと言われる。


しかし今日、国際推理協会はハメットの業績を称え、
ハメットの名を冠した推理賞を設けるなど、
探偵小説界の長老として今日でも人気の作家である。





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