『三毛猫ホームズの推理』 赤川次郎



赤川次郎は、『セーラー服と機関銃』『探偵物語』を始め、
多くのヒット作を持ち、1980年代以降のミステリーだけではなく、
小説界全体をリードした、大ヒットメーカーだ。

その赤川次郎が、本格的に人気作家の、
仲間入りをする契機となった作品が、1978年に刊行された、
『三毛猫ホームズの推理』である。

猫を主人公に据えた、斬新な設定が評判を呼んだ、
この作品は、シリーズ化され、現在も続く大ヒットとなった。

血を見るのが苦手で、女性恐怖症という、ダメ刑事が、
女子大生殺人事件を負うところから、物語は始まる。

聞き込みの結果、殺された女子大生は、
売春をしていたことが判り、組織的な関与が背後にあることから、
刑事は、女子大に、潜入し捜査を開始する――。

捜査が暗礁に乗り上げる度に、手掛かりを、
見付けるきっかけを与えてくれる猫が、
被害者の飼い猫である設定が、まず面白い。

当初、シリーズ化の予定はなかったため、
登場人物が、かなり死亡する。

そのため、後に、テレビドラマ化された際は、
主人公である刑事と猫以外の設定は、大きく変わっている。

読みやすく、話の展開がスピーディな作風は、
この頃から、現在まで変わることのない、作者の持ち味だ。

この作品がきっかけで、数多くのシリーズものを、
手掛けていった作者の著作数は、現在、
600に達しようとしており、著作の累計発行部数は、
3億部を超えるという、前人未到の記録を樹立している。

本書は、1970年代後半における、
謎解きミステリー復権に、貢献するとともに、
その後の、ライトミステリーの隆盛に繋がる、
先駆けとしての役割も、果たしている。

今日も、様々な作品が、映画・ドラマ化されている、
著者の原点が感じられるお、勧めの一冊だ。

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