ミステリーのジャンルは、
・”本格もの”
・”社会派”
・”ハードボイルド”
など、様々なものがあり、
その時々の時代の中で、流行が生まれてきた。
1960年代は、松本清張の登場以降は、社会派の作品が流行し、
1970年代後半になると、角川映画とメディアミックスの形で、
横溝正史の、本格推理が大流行した。
そういった経過を経て、1987年に出版された、
綾辻行人のデビュー作、『十角館の殺人』は、
斬新なトリックで、推理小説界に、新風を吹き込み、
”新本格” ブームを、巻き起こす契機となった。
物語は、大学の、推理小説研究会の一行が、
角島という、無人の島を訪れるところから始まる。
学生たちはそれぞれ、有名な推理作家にちなんだ、ニックネーム、
・「ポウ」
・「エラリイ」
などと、呼び合っている。
やがて、連続殺人が巻き起こり、
学生達はお互い、疑心暗鬼になる。
果たして犯人は誰なのか――。
終盤に登場する、物語の真相となる、
衝撃の一行が、話題になった、この作品の成功以降、
80年代後半から、90年代前半にかけて、綾辻行人の他、
有栖川有栖や法月綸太郎など、多くのミステリー新人作家が、
デビューすることになった。
当初は、「トリックのためのトリック」や、
「人物が描けていない」などの批判があったが、
通俗的な社会派、もしくは、サスペンスばかりが、
量産されていた時代に、本格的な探偵小説と、
謎解きの魅力を、再び読者に知らしめた、功績は大きい。
その後、綾辻行人は、『館シリーズ』を発表し、
第5作の、『時計館の殺人』で、
第45回日本推理作家協会賞を受賞している。