『放課後』 東野圭吾



直木賞を受賞した、『容疑者Xの献身』で、
アメリカ探偵作家クラブ賞、長編賞に、
ノミネートされたのを始め、今や、出す本すべてが、
ベストセラーになる、超人気作家、東野圭吾。

その記念すべきデビュー作となったのが、
1985年に、第31回江戸川乱歩賞を受賞した、
『放課後』である。

著者が、大学時代に入っていた部活動である、
アーチェリーの知識が活かされた、この青春推理小説は、
当時の推理小説界に、新風を吹き込むこととなった。

物語は、名門女子高の校内で、生徒指導の教師が、
青酸カリで死亡しているところから、始まる。

死体が発見された更衣室は、完全な密室だった。

教師を旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女を始め、
犯人候補が、次々と登場する中、自分の命も狙われる、
アーチェリー部の顧問教師が戸惑う中、
体育祭中に、第2の殺人が発生する――。

犯罪動機と、ラストの読後感に関しては、
乱歩賞選考時点でも、議論の対象となったもので、
今日読んでみても、賛否両論の分かれるところだろう。

しかし、犯罪動機に関しては、当時よりも現代の方が、
よりリアリティを、読者に感じさせてくれるかもしれない。

「そんなことで」と、思えてしまう、
少年少女犯罪が、あまりにも多いからだ。

また、ラストの読後感は、予定調和に飽きた読者にとっては、
とても新鮮に思えるものだろう。

若くして作家になった著者だが、しばらくは、
『万年初版作家』と揶揄されたり、
文学賞に15回落選するなど、不遇の時代が続いた。

しかし1999年、映画・ドラマ化された、
『秘密』のヒット以降、人気作家の仲間入りを、果たしている。

初期は、『本格もの』と言われる、
探偵とトリックを使った作風だった、
著者のみずみずしさが、よく現れているお勧めの一冊である。

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